会社員(サラリーマン)であり不動産投資をすることについて、私の考えのまとめ

会社員(サラリーマン)として不動産投資をすることについて、現時点(2018年9月)の私の考えのまとめを今回のブログに残すことにする。

 

最初に私が行きついた結論を述べると、”今はやらない”、である。

 

以下はその結論に至った背景と理由、そして今後の展望について。

 

2016年1月、日銀によるマイナス金利政策の採用発表があり、その翌月、私が取引している銀行も普通預金金利が年0.020%から年0.001%に見直された。ただでさえ低い金利が1/20となったことが、兼ねてから考えていた資産配分(アセットアロケーション)を預金メインから投資メインへ転換する案を実行する決定打となった。

 

その後、数ある投資と金融商品から投資先を調べていくうちに、不動産投資に興味を持った。理由は、ネット上や書籍で紹介されている不動産投資の情報で十分説明がつくが、その中でも個人的には、日本の地の利が活かせる点、つまり、会社員(サラリーマン)である属性を活かすことができ、低金利での融資を受けてレバレッジを利かせられ、比較的安定した利回りを期待できることが、気に入った点であった。その他の投資、例えば株やFXはいずれかに欠ける。

 

興味を持つと同時に、そもそも私は不動産投資を始められるか?という疑問を持ち、まずは私の状況・属性の分析から入った。幸いにも年収と自己資金は、融資が厳しくなった最近でも辛うじて受けられそうな水準はクリアしているようだ。居住地は地方だが、今のご時世、居住地はそれほど重要なファクターではない。職業は会社員で、業務は不動産投資とは関係ないため相乗効果は期待できないが、会社員属性は活かさない手はない。会社の規約で兼職制限があるため、法人での取得の手段を選べないのは残念だ。その他、既婚で共働きでローンもないので、世帯年収基準で融資を引けば、もう少し有利になれるだろう(ただし、この場合は妻に申し訳ない気持ちが生じる)。分析の結果、ひとまず土俵には上がれそうだと認識した。

 

次に、投資の知識は、各種ウェブサイトや専門書で勉強した。個人的なベスト書籍を1冊紹介するとなると、次の収益計算に関する書籍が具体的な数字で勉強することでき大変参考になった。

   Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて
   玉川陽介(著), 技術評論社(2017/3/16), Amazon

結果、楽待のキャッシュフローシミュレーション程度は自分でExcelで再現計算できるようになり、物件カタログ情報の数字を見ながら、詳細検討に進める物件かどうかを迅速にスクリーニングができるようになった。なお、書籍からの情報収集については、入門書のような体系的な内容や、実施例や体験談を元にした具体的な内容の本を10冊程度読んだあたりで、次に読もうと思う書籍を見るけることはできなくなった。何故なら、内容の重複が多くなり、情報収集効率が悪くなったためだ。従って、ひとまず書籍は卒業し、初心者として実働を始める準備ができたと判断した。

 

その後の具体的な活動としては、雑誌やセミナーでの最新情報収集、地方の銀行や不動産会社に直接相談/商談、不動産サイトを通じて頂いた提案への対応、実際の物件の実地調査、などを行った。いずれも事前に納得いくまで勉強してから活動を始めたので、活動の質はかなりの手ごたえを感じているが、結果として購入に至った収益物件に出会えているわけではないので、活動の量がまだ不十分と考えている。また、その間、不動産投資業界の状況が大きく変わったことも、活動内容と買付判断基準に大きく影響している。 

 

活動自体は、新しい視点を得ることができ、好奇心が刺激されるので、大変であっても楽しいものである。様々な状況や数字の絶妙な因果関係やバランスに関心し、多くを学んだ。実経験はこれから積むものであるから、今はそれほど心配はしていない。しかし、活動するにつれて予想に反して不動産投資に対するモチベーションが低下していくことに気づいた。理由は、客観的に不動産投資を考えた時に見えてきた幾つかの課題に解決策が見出せないためだ。

 

そもそも、私自身が不動産投資家として今後何年も続けられるかどうかに不安を持つようになった。言い換えると、将来的に良くも悪くも不動産投資家の先輩の方々のように私がなる覚悟を決めたかという問いにYesと答える自信が持てなくなった。将来像が課題だ。

次に、私が活動をしている一方で、妻がマーケティングの専門家、父親が一級建築士、義父が地方銀行の役員ということもあり、投資に関して相談すると客観的な情報が入ってくる。ただし、それはプロフェッショナル目線の情報なので質が違う。不動産投資にもプロフェッショナルがいるわけで、直接対決は避けるとしても、同じ土俵上で生き残り続けるためのモチベーションを、今後何十年も融資の返済とともに抱え続けられるだろうか。情報格差が課題だ。

また、感じ方は様々だろうが、不動産を購入すると入居者の生活の一部に責任を持つと私は思っている。いくら投資だと割り切り、様々な手間を管理会社に一任したとしても、投資家とは別に大家業としての自覚をもたないと、私と管理会社および管理会社と住人の間に良い関係も築けないし、ひいては投資として成功し続けることもできないと思う。特に私のいる地方ではその傾向は強いと思う。本業の会社員(サラリーマン)を前提とした副業としての投資家活動である。今後共働きで子育てもしながら、更に不動産投資にコスト(時間と労力と気持ち)を今後何年も割くことはできるだろうか。覚悟が課題だ。

 

今回のブログの冒頭に述べた通り、現在の目標は、銀行預金以上の利回りが期待できる投資への資産配分の調整に設定しており、正直なところ投資先が不動産でなくても何でもいいのだ。実際に不動産投資の"準備"をし、客観的に状況を考察し、その結果構築された私の大局観において、始めることは問題ないが、その後もモチベーションを保ち、成果を出し続けて、出口戦略までの絵が描けず、従って"今はやらない"という結論に至った。今後やるとしても、上記の課題が解決できた時、つまり、将来像に満足するか、気にならない年齢になり、情報格差は時運やお金や人脈などで解決し、転職や退職するなどして覚悟を持てる余裕がでてきた時だと思う。それがいつかは分からない。よって、今後はいつでも再開できるよう、状況はウォッチし、アンテナは常に張っておくことにする。

 

現在、不動産投資を真剣にやっている方々からすると甘っちょろい戯言だと思うが、自分には嘘はつけない。これが今の私の考えである。